こんにちは! 三浦 海の学校のインストラクターの吉田です!
今日はですね、ぼくたちが潜っている三浦の海で、わりと「あっ、またいた!」って感じで出会える、あのちょっと派手で、なんだかゴージャスな魚について書きたいと思います。
そう、**「ミノカサゴ」**です!
ちなみに、今日の三浦 海の学校前のビーチポイントは、水温が 17.5 度くらい。透明度は 8 メートルほど見えていて、ダイビングにはなかなか良いコンディションですよ! ミノカサゴ探しにも、もってこいかもしれませんね。
さて、ミノカサゴって聞くと、皆さんはどんなイメージを持ちますか? 「ヒレに毒があって危ない魚でしょ?」 「なんか、派手な見た目だよね」 「触ったらヤバいやつ!」
うんうん、分かります。そういうイメージ、すごく強いですよね。ニュースなんかでも、時々「刺された!」なんて話を聞くことがあるかもしれません。だから、「ミノカサゴ=危険!」って思っている方も、きっと多いはずです。
でも、 です。 本当に、ただ「危険なだけ」なんでしょうか? あの美しい姿には、何か秘密が隠されているんじゃないでしょうか?
確かに、ミノカサゴのヒレに毒があるのは事実です。だから、不用意に触るのは絶対にダメ! これは、海で遊ぶ上での大前提ですね。
でもね、よーく見てください。あのヒラヒラとした大きなヒレを広げて、ゆーったりと水中を漂う姿…。まるで、舞踏会でドレスを翻して踊る貴婦人みたいで、思わず見とれてしまうような、独特の優雅さがあると思いませんか? ぼくは、海の中でミノカサゴに出会うと、その美しさに、つい時間を忘れて見入ってしまうことがあるんです。
というわけで、今日は、そんなミノカサゴの「危険」なイメージの裏側にある、知られざる魅力や、面白い生態について、そして、どうすれば安全に彼らを観察できるのか、そのあたりを、皆さんと一緒に、ちょっとだけ深掘りしてみたいと思います!
ミノカサゴって、そもそもどんな魚?
まずは、基本のキから。ミノカサゴは、カサゴ目フサカサゴ科に属する魚の仲間です。「カサゴ」って名前についている通り、岩陰なんかにじっとしているのが好きなタイプですね。
暖かい海のサンゴ礁や岩場に住んでいて、日本では房総半島あたりから南の海で見られます。夜行性と言われていて、昼間は岩陰やオーバーハングの下で、じーっとしていることが多いです。ぼくたちが三浦の海で出会う時も、だいたい岩の隙間とか、ちょっとした洞窟みたいなところに、ふんわり隠れていることが多いですね。
あの長いヒレ、飾りじゃないんです! ミノカサゴ最大の特徴といえば、やっぱり、あの長くて美しいヒレですよね。「ミノ(蓑)」っていうのは、昔の人が雨具として使っていた藁(わら)で作ったコートのこと。その蓑に似ているから、「ミノカサゴ」って名前がついた、なんて説もあります。
じゃあ、あの立派なヒレは何のためにあるんでしょう? いくつか理由が考えられています。
- 威嚇(いかく)のため?:「俺には毒があるんだぞ! 近寄るなよ!」って、他の魚や、ぼくらダイバーに対してアピールしているのかもしれません。確かに、あの姿で迫られたら、ちょっとビビっちゃいますよね(笑)。
- 擬態(ぎたい)のため?:ユラユラ揺れるヒレが、海藻やウミシダ(植物みたいな見た目の動物です)にそっくりに見えることで、周りの景色に溶け込んで、獲物(小魚やエビ、カニなど)に気づかれずに近づいたり、逆に敵から身を守ったりしている、とも言われています。
- 獲物を追い詰めるため?:あの大きなヒレを広げて、小魚などを岩場の隅っこに追い込んで、パクリ!と食べるためにも使っているようです。見た目の優雅さとは裏腹に、なかなかのハンターなんですね。
毒について、正しく知ろう!
さて、皆さんが一番気になっているであろう「毒」の話。これは、しっかり知っておく必要がありますね。
ミノカサゴの毒は、主に背ビレ、腹ビレ、尻ビレのトゲにあります。胸ビレ(あの大きくて扇子みたいなヒレ)には毒はない、と言われています。
もし、万が一、これらのトゲに刺されてしまうと、ズキン!と激しい痛みが走り、赤く腫れ上がります。重症になると、めまいや吐き気、呼吸困難などを引き起こすこともある、結構強力な毒です。
「じゃあ、やっぱり近づかない方がいいじゃん!」 そう思いますよね。でも、大丈夫! ミノカサゴは、自分から積極的に人を攻撃してくるような魚ではありません。 彼らは基本的に、おとなしくて臆病な性格。自分より大きな生き物が近づいてくると、むしろ逃げようとしたり、岩陰に隠れようとしたりすることがほとんどです。
彼らが毒針を使うのは、あくまで「自分の身を守るため」。つまり、こちらから手を出したり、うっかり追い詰めたりしない限り、刺される心配はほとんどないんです。
だから、ミノカサゴを安全に観察するためのコツは、とってもシンプル!
- 絶対に触らない!(当たり前ですね!)
- 適度な距離を保つ!(近寄りすぎない。最低でも1メートル、できればそれ以上離れて観察しましょう)
- 追いかけたり、驚かせたりしない!(彼らの逃げ道を塞がないようにしましょう)
これを守っていれば、ミノカサゴは、ぼくらダイバーにとって、危険な存在ではなく、むしろ、その美しい姿で海の中を彩ってくれる、素晴らしい「被写体」であり、「観察対象」になってくれるんです。
三浦の海での出会い
ぼくたちが潜る三浦の海でも、ミノカサゴは比較的よく見かけることができます。特に、ビーチポイントの岩場や、ボートポイントの根(海底にある岩山)の周りなんかを探してみると、「あ、いた!」って感じで、岩陰でじっとしている子や、時には中層をゆーら、ゆーらと優雅に泳いでいる姿に出会えますよ。
あまり動き回るタイプではないので、一度見つけると、比較的じっくり観察しやすい魚でもあります。水中写真を撮る方にも人気ですよね。あの独特のフォルムは、写真映えもバッチリ!
ただ、岩陰にいることが多いので、見つけるにはちょっとしたコツがいるかもしれません。オーバーハングの下とか、岩の隙間とか、「こんなところに隠れてるの!?」っていう場所が好きなようです。宝探しみたいで、それもまた楽しいんですけどね!
というわけで…
ミノカサゴは、確かにヒレに強力な毒を持っています。だから、「危険な魚」という側面があるのは間違いありません。
**とはいえ、**です。 彼らの毒は、あくまで身を守るためのもの。こちらがちゃんとルールを守って、敬意を持って接すれば、彼らがその美しい姿で、ぼくたちを魅了してくれる、とても興味深い海の生き物なんです。
あの優雅な泳ぎ、不思議な生態、そして、ちょっとミステリアスな雰囲気…。知れば知るほど、奥が深い魚だと思いませんか?
「危険だから」と敬遠するだけじゃなくて、その美しさや面白さにも目を向けてみる。そうすると、海の世界が、もっともっと、豊かに見えてくるような気がします。
三浦の海に潜る機会があったら、ぜひ、岩陰をそーっと覗いて、ミノカサゴの姿を探してみてください。ただし、見つけても、絶対に触らず、優しい距離感で見守ってあげてくださいね!
海の生き物たちと、安全に、そして仲良く付き合っていく。それが、ぼくらダイバーにとって、一番大切なことですから!
いかがでしたでしょうか? ミノカサゴの魅力、少しでも伝わったら嬉しいです!
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