春濁りの海でウミウシ三昧——三浦・海の学校でマクロ三昧の一日

春濁りの海でウミウシ三昧——三浦・海の学校でマクロ三昧の一日

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3月も下旬に差し掛かり、海の中ではじわじわと春の気配が感じられるようになってきました。

気温はまだひんやりと肌を刺すような朝もありますが、それでも海へ向かう足取りは自然と軽くなります。今回は三浦 海の学校でビーチダイビングを楽しんできましたので、その様子をお伝えします。

3月の三浦、春の入り口へ

この季節の三浦は、曇りがちで風の冷たい日もありますが、海へ来るダイバーたちの顔はどこか嬉しそうです。長い冬を越え、少しずつ生き物の動きが活発になってくるこの時期、マクロ派のダイバーには堪らないシーズンの始まりとも言えます。

海の学校はビーチエントリーのポイントで、エントリーからすぐに砂地が広がり、岩場が点在するレイアウトが特徴です。ガイドロープを辿りながらゆっくりと潜っていくと、冷たい水の中にも確かな「春」 の兆しが感じられました。

春濁りとは何か——今日の海況

水温は13〜14℃。まだ肌に染みるような冷たさはありますが、厳冬期の12℃台からは少しずつ上がってきています。

そしてこの時季の三浦の海で特徴的なのが「春濁り」 です。透明度は5mほどで、視界はお世辞にも良いとは言えません。

春濁りとは、水温の上昇とともに植物プランクトンが大量発生することで起きる現象です。太陽の光が海中に届き始め、栄養塩が豊富な冬の海水とあいまって、植物プランクトンが爆発的に増殖します。その結果、海水が白〜緑がかった乳白色に濁り、透明度が一時的に下がるのです。

一見するとデメリットのように感じるかもしれませんが、これは海の豊かさの証でもあります。プランクトンが増えれば小さな生き物が集まり、その連鎖で中型・大型の生き物も引き寄せられる。春濁りは、これから訪れる賑やかなシーズンへの序章と言っていいでしょう。

視界が限られるこの時期こそ、足元をじっくり観察するマクロダイビングが輝きます。遠くを見渡すより、目の前の岩や砂の上に視線を落とす。すると、これがまた面白い発見の連続なのです。

今日の水中レポート

サラサウミウシ

今日の主役のひとつがサラサウミウシです。体長は3〜5cmほどで、クリーム色から淡いオレンジの地に、こまかな褐色の網目模様が入った美しいウミウシです。「更紗(さらさ)」という名は、その模様が染め物の更紗布に似ていることから来ています。

岩の表面や海藻の影など、比較的見つけやすい場所に出ていることが多く、初心者の方でも見つけやすいウミウシのひとつ。この時期の三浦では特によく見られ、春濁りの季節にかけて個体数が増える印象があります。動きはゆっくりとしており、写真も撮りやすい被写体です。

アオウミウシ

鮮やかなブルーに黄色と橙色のラインが走るアオウミウシは、ウミウシの中でも特に知名度の高い種類です。見た目のインパクトが強く、初めて海でウミウシを見た方がこの種類だったというケースも多いのではないでしょうか。

体長は3cm前後のものが多く、岩の表面に生えたカイメンを食べながらのんびりと移動しています。背中にある突起(二次鰓や触角)の鮮やかさが水中でも目を引き、春濁りで視界が悪い中でも、その青が目に飛び込んできます。今日も岩の陰にちょこんと佇む姿を複数個体確認できました。

シロウミウシ

その名の通り、真っ白な体に紫や橙の突起が並ぶシロウミウシ。清楚で上品な印象があり、私は個人的にこのウミウシが好きです。体長は2〜8cmと個体差が大きく、成体になるとかなりの存在感を放ちます。

白い体は砂地では目立ちにくいのですが、岩や海藻の上では意外とよく見えます。動きは非常にゆっくりで、じっと観察していると触角をゆらゆらとさせながら進む様子がとても愛らしい。 今日は2個体確認しました。

コモンウミウシ

コモンウミウシは白地に橙・紫の斑点が散りばめられた、华やかな模様が特徴のウミウシです。「コモン」 という名前は「小紋」から来ており、その模様が和柄の小紋に見立てられています。日本らしいネーミングで、なんとなく親しみが感じられますね。

比較的浅い岩礁帯を好み、春から初夏にかけて産卵のために活発に動き回ることが多いです。今日もゴロタ石の裏側をめくると、ちょこっと顔を出してくれました。派手な見た目に反して動きはのんびりとしており、撮影しやすい被写体のひとつです。

リピーターさんと過ごす春の海

今日はうれしいことがありました。経験本数300本を超えるリピーターのOさんがご来店くださったのです。長年一緒に潜ってきたOさんとの会話は、毎回とても楽しく、海の話に花が咲きます。

そんなOさん、今回はBCDの買い替えのご相談をいただきました。長く使ってきた愛着あるBCDもだいぶ年季が入ってきたとのことで、新しくBism(ビズム)のBCDをご購入いただきました。Bismは国産メーカーならではの細やかな設計と品質の高さに定評があり、日本人の体型にもよくフィットします。新しいギアと一緒に、これからまた気持ちよく潜っていただけたら嬉しいです。

この時期はOさんのようなベテランのリピーターさんが多くご来店くださいます。長い付き合いの中で積み重なってきた信頼を感じると、この仕事をしていて本当によかったと思える瞬間です。初心者の方が少しずつ上手くなっていく姿を見守るのも嬉しいですが、何年も一緒に潜ってきたダイバーさんとこうして海に出られるのも、また格別な喜びがあります。

春の海は、マクロの宝庫

透明度5m、水温14℃以下。 数字だけ見れば「厳しいコンディション」と感じる方もいるかもしれません。でも、だからこそ三浦の春の海には独特の魅力があります。視界が狭いぶん、足元の小さな生き物に目が向く。

そして気づけば、カラフルなウミウシたちとの出会いが次々に待っています。

水中の春はもう始まっています。これから水温が上がり、透明度が回復してくる5月〜6月には、さらに多彩な生き物が姿を見せてくれるでしょう。 その前の「静かな春」を、マクロレンズ片手にじっくり楽しんでみてはいかがでしょうか。

次回も三浦の海からレポートをお届けします。一緒に潜りに来たい方、ぜひお気軽にお声がけください。

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