三浦でアドバンス認定ダイブ|水面27度・水底19度、8月のサーモクライン

8月の三浦で、PADIアドバンス(AOW)の認定ダイブと付き添いのファンダイビング。水面27度・水底19度という8度差の海で、アカホシカクレエビやトラウツボに出会いました。神奈川・三浦半島のダイビングログです。

三浦の海でアドバンス講習の認定ダイブを終えた2人のダイバー

こんにちは、三浦 海の学校の吉田です。この日はPADIアドバンス(AOW)講習の認定ダイブと、それに付き添うファンダイビング。Nさんが無事にアドバンス認定となりました。陸はしっかり夏で、器材を担いで数歩あるくだけで汗が流れてくるのに、潜っていった先の水底は19度でひんやり。同じ海なのに、上と下で別の季節が同居しているような日でした。

陸は真夏、水底はひんやりの8月の三浦

三崎口から海へ向かう道すがら、蝉の声とアスファルトの照り返しで、もう完全に夏です。ウエットスーツに足を通す時点で暑く、エントリーして顔を水につけた瞬間がいちばん気持ちいい。

ところが今日は、そこから先が一筋縄ではいきませんでした。水面はぬるいくらいに暖かいのに、潜行して深度を落としていくと、あるところから急に体が「ひやっ」とする。首元から冷たい水がすっと入ってくる、あの感覚です。

数字にすると、水温は水面で27度、水底で19度。8度の差がありました。陸は暑いのに、水中はちょっと寒い。夏の三浦らしい、ちぐはぐな一日です。

水面27度と水底19度、サーモクラインの正体

この「上は暖かいのに下は冷たい」という現象には名前があって、サーモクライン(水温躍層)と呼ばれます。

夏の海では、太陽に温められた表層の水と、深いところに残る冷たい水がなかなか混ざりません。温かい水は軽く冷たい水は重いので、層になったまま分かれてしまうんですね。その境目を通過すると水温がストンと落ちる。ここがサーモクラインです。目で見えることもあって、温度の違う水が接する境界では屈折率が変わるため、視界が油を混ぜたようにゆらゆら歪みます。「景色がにじんでいるな」と思ったら、たいていその先で水温が変わります。

三浦半島の海は、黒潮からの暖かい水、東京湾から流れ出る水、相模湾の深いところにある冷たい水が、季節ごとに違う配分で混ざり合う場所です。決まったパターンで動いてくれません。

8度の差はウエットスーツだとはっきり体にきます。夏だからと薄いインナーで来ると、2本目の後半で震えることに。フードベストが1枚あるだけでかなり楽です。三浦のダイビングは真夏でも「1枚多め」で考えておくと、最後まで気持ちよく潜れます。

Nさんのアドバンス(AOW)認定ダイブ

今日AOWの認定ダイブを迎えたのは、Nさんです。実はNさんは、オープンウォーター(OWD)も三浦 海の学校で取得された方。ステップアップでまた戻ってきていただけるのは、インストラクターとして本当にうれしいことです。

きっかけは、毎年通われているジープ島でした。あの海で潜るならAOWまで持っていたほうが、行ける場所もできることも広がる。そういう明確な目的があってのアドバンス講習です。目的がはっきりしている方の講習は進み方がまるで違って、「なぜこのスキルを練習するのか」が最初からご本人の中にあるので、こちらが説明する前に体が動く場面が何度もありました。

そして今日は、その学びが目の前に転がっていた日でもありました。深く潜ると何が起きるかを、テキストの図ではなく自分の皮膚で体験できたわけです。「深いと水温が下がる」と読んで知っているのと、首元に冷たい水が入ってきて「これか」と分かるのとでは、残り方がまったく違います。

無事、全て終了。Nさん、アドバンスダイバー認定おめでとうございます。

この日一緒に潜っていたのが、Nさんのご主人であるSさん。経験豊富なリピーターの方で、今回は付き添いのファンダイビングです。奥様の認定ダイブに、ご主人が同じ海で並んで潜っている。冒頭の写真のピースサインは、そのときのものです。こういう日は、ガイドをしていて本当に楽しい。

この日の生き物、アカホシカクレエビからトラウツボまで

水温は低めでしたが、生き物は夏の顔ぶれ。今日出会えた中から紹介します。

アカホシカクレエビ

イソギンチャクの触手のあいだに暮らす、体が透きとおったエビです。名前のとおり背中に赤い斑点があり、脚や触角には紫がかった濃い斑が並びます。透明な体に色の点だけが浮かんで見えるので、慣れないと生き物だと気づきません。

三浦の海のイソギンチャクにすむアカホシカクレエビ

彼らはイソギンチャクの毒に耐性があり、あの触手のなかを「安全な家」として使っています。掃除屋としての顔もあり、寄ってきた魚の体表や口の中の寄生虫を食べてくれる。撮影は難易度高めで、ピントが合わないうえ触手の奥へすっと逃げます。イソギンチャクを見つけたら、目を近づけて数秒じっと待つのがコツです。

オルトマンワラエビ

細長い脚を放射状に広げた、クモのような姿の甲殻類。名前に「エビ」と付きますが、いわゆるエビでもカニでもなく、コシオリエビの仲間です。

三浦のソフトコーラルにつかまるオルトマンワラエビ

トゲトサカなどのソフトコーラルやヤギ類につかまって、流れてくる有機物を待っています。今日もオレンジ色の枝にしっかり脚を引っかけていました。ライトを当てると脚の関節の白黒模様が浮かび上がり、背景の色と合わせて写真映えします。

ネンブツダイの群れ

岩場の上、視界いっぱいに広がっていたのがこの群れです。一匹一匹は手のひらに乗るくらいの魚ですが、数百匹単位で漂うので、中に入っていくと魚に囲まれたような感覚になります。

三浦の岩場に群れるネンブツダイ

この仲間で面白いのは、オスが卵を口の中で守る「口内保育」をすることです。産卵期はまさに夏で、抱えているあいだオスは餌もほとんど食べずに守り続けます。この時季は口元がぷっくり膨らんだ個体が混じっていることがあるので、ぜひ探してみてください。群れは正面から突っ込むと割れるので、少し下からゆっくり近づくのがコツです。

トラウツボ

岩の隙間から、オレンジと白のまだら模様の顔がのぞいていました。頭の上に角のように突き出しているのは、管状に伸びた鼻の穴。この管でにおいを嗅いで、暗い岩陰から獲物を探しています。

三浦の岩陰から顔を出すトラウツボ

口を大きく開け閉めするので怖い顔に見えますが、あれは威嚇ではなく呼吸です。ウツボはエラで水を送り出す力が弱いので、口をパクパクさせて水を通しているだけ。こちらから手を出したり餌をやったりしなければ、穴の中でおとなしくしています。

スズメダイ

最後は、三浦の海でごく普通に見られるスズメダイ。「そのへんにいる地味な魚」と思われがちですが、ライトを当ててみてください。

三浦の岩場で見られるスズメダイ

背ビレと尾ビレ、腹側のヒレの縁が、蛍光ペンで線を引いたように青く光ります。オリーブ色の地味な体に、この青いラインだけがくっきり浮かぶ。見慣れた魚ほど、光の当て方ひとつで印象が変わります。

OWDの次のアドバンス(AOW)で潜れる海は30mまで

Nさんのように「行きたい海がある」方はもちろん、そうでない方にもアドバンス講習はおすすめしています。理由は単純で、潜れる海が物理的に広がるからです。

OWDで認定される深度は18mまで。アドバンスを取得すると30mまでになります。この差はパンフレットの数字以上に大きい。「あの根はちょっと深いので今日は行けません」と案内していた場所が、選択肢に入ってくるからです。今日のようにサーモクラインの下まで降りていく日も、ここに含まれます。

講習は2日間、5つのアドベンチャーダイブで進みます。ディープ、ナビゲーション、ボートダイブなど、実際に潜るなかで身につける構成で、筆記試験に追われる講習ではありません。

料金は講習費59,800円(税込)で、教材一式・実習費・申請料・保険が含まれます。別途レンタル器材代が5,500円/日(2日間で11,000円)、レンタルを使う場合の総額は70,800円です。OWDとまとめて取るセット講習なら講習費が5,000円お得になります。詳しくはダイビングライセンス取得コースのページをどうぞ。

8月1日から始めたバディ割と「つづける割」

今日のSさんとNさんのように、一緒に潜る人がいるダイビングは強いです。予定が合わせやすいし、何より「行こうよ」と言ってくれる人がいる。続く方はだいたい誰かと潜っています。そこで8月1日から、2つの仕組みを始めました。

バディ割、お友達を紹介するとふたりとも得をする

認定ダイバーの方がお友達を紹介してくださり、そのお友達がライセンス講習を受けると、紹介者の付き添いダイビングが6,600円引きになります。受講されるお友達のほうも、器材レンタル1日分(5,500円相当)が無料です。詳しくはバディ割のページにまとめてあります。

つづける割、潜った日に次の日付を決めるだけ

潜った当日、ログ付けのときに次回の日付をその場で決めていただくと、次回のファンダイビングが800円引きになります。ビーチなら13,200円が12,400円、ボートとリフレッシュなら19,800円が19,000円です。

事前の申し込みも合言葉も不要、ログ付けのときにひと言いただければその場でお取りします。条件はすべてつづける割のページに書いています。

Nさん、あらためてアドバンス認定おめでとうございます。次はジープ島の海で、今日学んだことがきっと役に立つはずです。そしてSさん、いつもありがとうございます。また一緒に潜りましょう。

8月の三浦の海は、上は夏、下はまだ夏になりきっていません。1枚多めに持ってきていただければ気持ちよく楽しめます。ご予約・ご相談はお問い合わせか、公式LINE(lin.ee/Y3nB18U )へどうぞ。