台風でダイビングは中止になる?三浦半島の海が荒れる仕組みと判断基準

台風でダイビングは中止になる?三浦半島の海が荒れる仕組みと判断基準

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こんにちは、三浦 海の学校の吉田です。

8月が近づくと、ダイビングのご予約をいただくたびに天気図を開く回数が増えます。

台風シーズンだからです。三浦半島の海は普段はとても穏やかで、初めての方でも安心して入れる場所なのですが、台風が絡むと話がまったく変わります。

「台風が来たら中止ですか」「まだ沖縄のあたりなのに、なぜ中止なんですか」「台風の後はいつから潜れますか」。 この時季、いちばん多くいただくご質問です。今回は、台風で海がどう変わるのか、僕らが何を見て開催と中止を決めているのか、そしてキャンセル料や振替がどうなるのかを、順番にお話しします。

台風でダイビングが中止になる理由は、風ではなく「うねり」

先に結論をお伝えします。台風でダイビングやスノーケリングを中止するとき、決め手になるのはたいてい風でも雨でもなく、うねりです。

うねりは、遠くで吹いた風がつくった波が、風のない海域まで伝わってきたもの。気象庁の解説では、風が直接つくる波と違って、丸みのある規則的な形で、波の峰がそろって長く続くのが特徴とされています。海の上ではゆったりして見えるのに、岸の浅いところまで来ると急に持ち上がって崩れます。

これがダイビングにとって厄介なのは、いちばん影響が出るのがエントリーとエキジット、つまり岸から海に入る瞬間と上がる瞬間だからです。水底が見えないほど泡立った波打ち際を、器材を背負って歩くことになります。水中では砂が巻き上げられ、体が前後に揺さぶられます。三浦の海はビーチダイビングが中心なので、うねりの影響は特に正直に出ます。

風が弱くても、雨が降っていなくても、うねりが入っていれば中止の判断をします。逆に、少し風が吹いていても、うねりが入っていなければ問題なく潜れる日もあります。

台風の本体より先に、うねりが三浦の海に届く

台風シーズンにいちばん誤解されやすいのが、この時間差です。

「土用波」は、遠くの台風から先に届く波

夏の終わりに、南の海上にある台風から日本の沿岸へうねりが届く現象を、昔から土用波と呼びます。気象庁の波浪解説によると、数千キロ南の台風の周辺で発生した波が日本の海岸まで伝わってくるもので、その伝わる速さは非常に速く、時に時速50キロを超えるとされています。

一方で台風そのものは、太平洋高気圧に行き道をふさがれると、日本のはるか南でゆっくり北上することがあります。波だけが先に猛スピードで到達し、台風は何日も遅れてやってくる。この差が、「まだ台風は遠いのに海はもう大荒れ」 という状況を生みます。

晴れているのに、海だけが荒れている日

そういう日は、陸の上はきれいに晴れています。 青空で、風もそこそこ。予報アプリを見ても三浦は晴れマークです。それでも岸に立つと、遠くから来た大きな波が規則正しく打ち寄せていて、海に入れる状態ではありません。

「天気がいいのに中止なんですか」 と驚かれるのは、ほとんどこのパターンです。ダイビングの可否は空模様ではなく水面の状態で決まる、というのは、台風シーズンにいちばん覚えて帰っていただきたいことかもしれません。

なお気象庁の統計では、1991年から2020年の平均で、1年に約25個の台風が発生し、そのうち約12個が日本から300キロ以内に接近しています。発生も接近も7月から10月に多く、8月は発生数が年間でもっとも多い月です。日本のどこかに台風がある期間が長い、と考えておくと予定が立てやすくなります。

台風のうねりが到達する仕組みを説明する、三浦 海の学校のダイビングガイドキャラクター

台風の前・最中・後で、三浦の海はこう変わる

台風は、通り過ぎたら終わりではありません。 前後で海の表情が変わります。

前——うねりが先に入り、透明度が落ちはじめる

まずうねりが届きます。同時に、波で砂や泥が巻き上げられて、水がだんだん白っぽくなっていきます。この段階では潜れる日もありますが、判断は日ごと、場所ごとです。「明後日から台風だから今日は安全」 とは限りません。

最中——海に近づかないことが、いちばんの安全策

台風が接近しているあいだは、当然ながら海には入りません。 加えてお伝えしたいのが、陸側の事情です。三浦 海の学校では京急三崎口駅から開催地まで無料送迎をご利用いただけますが、暴風で電車が止まれば、そもそも現地までたどり着けません。 道路の通行止めも起こります。海が回復していても交通が動いていない、という日は中止にします。

見物に海岸へ近づくのも避けてください。うねりは一定の間隔で来るわけではなく、忘れたころに一段大きいものが来ます。

後——濁りと漂流物、そして地形の変化

台風が抜けた直後の海は、たいてい濁っています。川から流れ込んだ濁りや、巻き上がった砂が落ち着くまでには時間がかかります。流木やゴミ、切れた海藻などの漂流物が浮いていることもあります。

見落とされがちなのが、水中の地形が変わることです。砂が動いて、いつも目印にしていた岩の見え方が変わる。エントリー口の砂利の積み方が変わって、歩きにくくなる。だから台風の後の1本目は、いつもより慎重にコースを取りますし、僕らも「変わっているかもしれない」 という前提で潜ります。岸に寄る流れ、沖へ出ていく離岸流の出方も変わります。

回復にどれくらいかかるかは、台風の進路と規模、通過後の風向きで本当にまちまちです。翌日にはすっかり穏やかな年もあれば、うねりが数日残ることもあります。ここは正直に、その都度海を見てご案内するしかありません。

台風が海に置いていく、良いものもある

悪い話ばかりではありません。 台風は水をかき混ぜて入れ替えていきます。夏のあいだ表層にたまっていた温かい水と深い層の水が混ざり、濁りが落ち着いたあとに一気に見通しが良くなる日があります。黒潮の流れが変わって、南から流れてきた季節来遊魚が三浦の浅場に居つくこともあります。夏の後半から秋にかけての三浦の海がおもしろいのは、この撹拌があるからです。

台風が去ったあと見通しが良くなった三浦半島の海と、岩場に集まる季節来遊魚

台風シーズンのダイビング予約は、こう組むと慌てない

ここからは実務の話です。台風シーズンにご予約をいただくときの流れと、費用の扱いをはっきりさせておきます。

中止の判断は、前日の夕方までにご連絡します

海況が怪しいときは、前日のうちに判断してご連絡します。当日の朝まで引っぱると、お客様が家を出るかどうかを決められません。ただ、うねりは前日夜から朝で急に入ることもあるので、前日は開催、当日朝に中止という順序が起きることもあります。 その可能性も含めて事前にお伝えしています。

悪天候・海況不良で当方が中止した場合、キャンセル料はいただきません

ここは大事なところなので、規定のまま書きます。三浦 海の学校のキャンセル料は、開催日の前日17時までは無料、前日17時以降は料金の50%、当日または無連絡の不参加は料金の100%です。そのうえで、悪天候や海況不良により当方が開催を中止した場合、キャンセル料はいただきません。 代替日のご提案か、全額返金でご対応します。詳しくは特定商取引法に基づく表記に記載しています。

日程変更は、空きがあれば無料です

台風の進路が見えてきた段階でのご相談も歓迎です。 日程変更は空きがあれば無料で承っています。少人数制で1日の受け入れ枠に限りがあるので、できるだけ早めにご連絡いただけると、振替先をご用意しやすくなります。

半島の地形を使って、開催場所を変えることもあります

三浦半島は東西を海に挟まれた細長い地形です。だから、波や風の向きによって、同じ日でも東側と西側で海の状態がまったく違うことがあります。スノーケリングは城ヶ島または三戸浜で開催していますが、海況によって安全に楽しめる場所へ変更する場合があります。ダイビングも同様に、その日いちばん条件の良いポイントを選びます。「中止か開催か」の二択ではなく、場所を動かして開催できる日がある、ということです。

海に入れない日にも、進められることがあります

ライセンス講習をお申し込みの方には、eラーニングの教材を先に進めておくという手があります。台風で実技がずれても、学科が終わっていれば、次の晴れ間で海洋実習に集中できます。 荒天の一日を無駄にしない使い方です。ダイビングライセンス取得コースのページに講習の流れをまとめてあります。

台風シーズンのダイビングによくあるご質問

Q. 晴れていて風もないのに、中止になることはありますか

あります。前述の土用波のように、うねりだけが先に届く日です。 判断は空ではなく水面を見て決めています。

Q. スノーケリングなら、うねりがあっても大丈夫ですか

逆になることが多いです。スノーケリングは水面と浅場で遊ぶので、うねりや波打ち際の崩れをまっすぐ受けます。うねりに弱いのはむしろ浅場のアクティビティです。「ダイビングは無理だけどスノーケリングなら」 とはお約束できません。

Q. 台風の後、何日たてば潜れますか

台風の規模や進路によって変わるので、日数でお答えするのは難しいです。うねりが収まっていれば濁りが残っていても潜れますし、逆に晴れて数日たってもうねりが残ることがあります。ご予約前に海の様子をお伝えしますので、公式LINEでお気軽に聞いてください。

台風と付き合いながら、夏の三浦の海を楽しむために

台風はコントロールできません。ダイビングに絶対の安全はなく、無理をしない判断の積み重ねでリスクを下げていく遊びです。 だから僕らは、海況が悪ければ中止にします。がっかりさせてしまうのは心苦しいのですが、そこは譲りません。

そのうえで、台風シーズンの三浦の海は決して閉ざされてはいません。うねりが抜けた翌日に、驚くほど見通しの良い海が待っていることがあります。夏の後半には南から流れてきた魚が加わって、春とは違う賑やかさになります。日程に少し余裕を持たせて、振替を前提にご予約いただければ、この季節の海はしっかり楽しめます。

台風の合間を狙って、三浦の海に会いに来てください。ファンダイビング体験ダイビングも、当日の海況に合わせてご案内します。

三浦 海の学校について

三浦 海の学校は神奈川県三浦市のPADI公認5スターIDCセンターです。ダイビングライセンスの取得から、ファンダイビング、スノーケリングなどのマリンアクティビティまで、初心者からベテランまで楽しめます。 開催は城ヶ島・宮川湾。京急三崎口駅から開催地まで無料送迎をご利用いただけます。

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