台風が沖縄にいても三浦の海が荒れる理由|うねりでクローズした日の見立て

台風13号のうねりで三浦のダイビングをクローズにした日の記録。台風は沖縄へ向かっているのになぜ荒れるのか、海が戻るまでに何ができるのかを、三浦半島の現役インストラクターが書きます。

晴れた空の下、うねりが入って白く崩れる三浦半島の海を岸から見ているダイビングガイド

こんにちは、三浦 海の学校の吉田です。今日は残念なご報告からです。三浦のダイビングは、台風13号の影響でクローズにしています。うねりが入ってきていて、海に入れる状態ではありません。

空はよく晴れています。陸の上にいるかぎり、これ以上ない夏の日です。それでも岸に立つと、遠くから来た波が規則正しく打ち寄せていて、白く崩れている。こういう日です。

台風13号は沖縄へ向かっているのに、なぜ三浦の海がクローズなのか

まず台風13号がどこにいるかです。8月5日の朝の時点で、日本のはるか南、北緯25度・東経138度あたりを西へ進んでいます。中心気圧945ヘクトパスカル、最大風速45メートルという、かなり発達した台風です。

進路の予想を見ると、このあと西よりに進んで、8日ごろには沖縄本島の近海に達するとされています。つまり、三浦半島から見れば、13号は近づいてくるのではなく南を西へ通り過ぎていく台風です。

それでも三浦の海は荒れます。うねりだけが先に、そして遠くまで届くからです。

うねりは、遠くで吹いた強い風がつくった波が、風のない海域まで伝わってきたものです。台風そのものは時速20キロ前後でのろのろ進んでいても、そこで生まれた波は何倍もの速さで海を渡ってきます。だから「台風はまだ千キロ以上先にあるのに、三浦の海はもう入れない」という状況が普通に起こります。この仕組みについては台風でダイビングは中止になる?三浦半島の海が荒れる仕組みと判断基準にまとめてあるので、あわせて読んでいただけると腑に落ちると思います。

実際、13号の周りでは今週のはじめから、小笠原諸島でうねりを伴った高波への厳重な警戒が呼びかけられていました。予想された波の高さは10メートルを超えています。その海面のうねりが、南から本州の沿岸に向かって広がってきている。三浦の海が動いているのは、その端っこを受けているからです。

うねりが入った三浦の海で、僕が見ているもの

「波の高さ何メートルなら中止ですか」とよく聞かれます。実は高さだけでは決められません。ダイビングの可否を分けるのは、もう少し別のところにあります。

高さより、波の周期

いちばん見ているのは波の周期です。波の山から次の山までが何秒あるか、という数字です。

同じ高さの波でも、周期が短い波は風が近くで起こしたただの風波で、水面付近だけが騒いでいます。ところが周期の長い波、つまり遠くの台風から来たうねりは、水面の下ずっと深いところまで水が動いています。持っているエネルギーの量が違うのです。

だから沖では大したことなく見えても、水深が浅くなったところで一気に立ち上がって崩れます。岸に立って「そんなに高くないな」と思った波が、エントリー口では背丈ほどになって落ちてくる。周期の長いうねりが入っている日の怖さはここにあります。

波の向きと、三浦半島のどちら側か

次に波の向きです。三浦半島は東西を海に挟まれた細長い地形なので、うねりの向きによって、同じ日でも東側と西側でまったく状況が違います。向きがずれていれば、開催場所を移して潜れる日もあります。

ただ、南の海上から届く今回のようなうねりは、城ヶ島や宮川湾の側に正面から入ってきます。逃げ場が作りにくい向きです。

エントリーとエキジットで耐えられるか

最後は、実際に人が海に入って上がれるかどうかです。三浦のダイビングはビーチが中心なので、器材を背負って波打ち際を歩く時間があります。水中に入ってしまえば案外静かでも、出入りの数十秒で転ばされることがあります。しかもうねりは一定の間隔では来ません。忘れたころに一段大きいものが混ざるので、「さっきの5本は大丈夫だった」は判断材料になりません。

長い周期のうねりが規則正しく岸に押し寄せ、浅場で立ち上がって白く崩れる三浦半島の海

三浦の海が戻るまでの見立てと、中止の連絡の仕方

正直に書きます。僕もいちばん潜りたいと思っています。夏のいちばんいい時季にクローズが続くのは、やっぱり悔しいです。

そのうえで、「何日で戻ります」と言い切ることはできません。13号が西へ抜けていっても、南から届くうねりは弱まりながらしばらく残ります。うねりが収まる前に次の低気圧が来ることもあります。逆に、風向きが変わった翌朝にすっと静まることもあります。

判断は毎日、海を見て決めています。ご予約をいただいている方には、原則として前日の夕方までに開催か中止かをご連絡します。前日は開催の見込みでも、朝になってうねりが入り、当日に中止へ変えることもあります。その可能性も含めて事前にお伝えしています。

海況不良で当方が中止した場合、キャンセル料はいただきません。代替日のご提案か、全額返金でご対応します。日程変更も、空きがあれば無料で承ります。少人数制で1日の枠に限りがあるので、早めにご相談いただけると振替先をご用意しやすいです。

「今週末はどうですか」くらいの雑な聞き方で構いません。公式LINEからいつでも海の様子をお伝えします。

海に入れない日に、三浦のダイバーができること

待つ日を、ただ待つだけの日にしないための話です。うねりが抜けたときに一番いい状態で飛び込めるように、この期間でやれることが2つあります。

1. ライセンス講習のeラーニングを終わらせておく

ダイビングライセンスの講習をお申し込み中の方は、学科を先に片づけてしまうのが得です。実技の日程が台風でずれても、eラーニングが終わっていれば、次の晴れ間を海洋実習に丸ごと使えます。ダイビングライセンス取得コースのページに講習の流れを載せています。

2. 海が戻った日の予定を、先に押さえておく

うねりが抜けた直後は、待っていた人が一斉に動きます。少人数制なので、いい海になった日ほど枠が埋まります。先に日程だけ入れておいて、当日の海況で調整するほうが結果的に潜れます。

ファンダイビングは2ビーチが13,200円、2ボートが19,800円(いずれも税込・レンタル器材代は別途)。しばらく潜っていない方には、基本スキルを復習してから1ダイブするリフレッシュダイビング(19,800円・税込)もあります。

台風で予定が飛んで、そのまま今年は潜らずに終わってしまう。これが一番もったいないパターンです。半年空いてしまった方も、遠慮なくここから戻ってきてください。

うねりが抜けたあとの三浦の海は、たぶんおもしろい

台風は海をかき混ぜていきます。夏のあいだ表層にたまっていた温かい水と深い層の水が入れ替わり、巻き上がった砂が落ち着いたあとに、驚くほど見通しの良い日が来ることがあります。必ずそうなるとは言えませんが、そういう当たり日は毎年あります。

もうひとつ、8月後半から秋にかけての三浦の楽しみが季節来遊魚です。黒潮に乗って南から流れてきた南方系の魚の幼魚が、三浦の浅場に居ついて、しばらく見られるようになります。夏の終わりの海がにぎやかなのは、この撹拌と流れの変化があるからです。

ちなみに、うねりが入りはじめていた8月3日の講習では、透明度は2〜3mでした。視界が近い日でしたが、それでもハコフグ、コチ、ネンブツダイと出会えています。視界が悪い日は遠くの景色ではなく足元を見る日になるだけで、三浦の海が空っぽになるわけではありません。三浦で見られる生き物は海の生き物図鑑にまとめているので、潜れない日の予習にどうぞ。

台風で予定が飛んでも消えない、三浦 海の学校の2つの特典

8月から、三浦 海の学校では特典を2つ始めました。どちらも「予定が海況で流れても損をしない」ように作ってあるので、台風の話のついでにご紹介します。

つづける割、次の日付を決めておくと次回が800円引き

潜った当日、ログ付けのときにスタッフへ「次回の予約を入れてください」と伝えて日付を決めていただくと、次回のファンダイビングが800円引きになります。ビーチダイビングなら13,200円が12,400円、ボートとリフレッシュダイビングなら19,800円が19,000円です(いずれも税込)。

大事なのはここからで、決めた日程が海況で流れても、この800円引きは消えません。日程変更は空きがあれば無料ですし、今日のようにこちらの判断で中止した場合も代替日をご提案します。台風シーズンに次の予定を入れるのは勇気がいると思いますが、そこで損をしない作りにしてあります。

対象や細かい条件はつづける割のページに書いています。

バディ割、友達を誘うとふたりとも得をする

もうひとつが紹介特典のバディ割です。あなたが誘ったお友達がライセンス講習を受けると、紹介したあなたの付き添いダイビングが6,600円引きになります。誘われたお友達のほうも、器材レンタル1日分(5,500円相当)が無料になります。

つづける割とバディ割は、併用していただけます。

そして、これは海に入れない今日でもできることです。バディ割のページはそのまま友達に転送していただいて構いません。うねりが抜けたころに、ふたりで来ていただけたらうれしいです。

潜れない日に、次に潜る日程を友達と一緒に決めているダイビングガイド

今日はクローズ、海を見て待つ

ダイビングに絶対はありません。できるのは、危ないと思ったら入らない判断を積み重ねることだけです。だから今日はクローズにしました。楽しみにしてくださっていた方には本当に申し訳ないのですが、ここは譲れないところです。

台風13号のうねりは、いつか抜けます。そのとき三浦の海は、たぶん今よりずっといい顔をしています。学科を進めて、次の日程を押さえて、よかったら友達を誘って、その日を待ちましょう。

海が戻ったら、いちばんに教えます。