ダイビングのログブックに何を書く?三浦のスクールが作った記録アプリの話

ダイビングのログブックには何を書けばいいのか。三浦 海の学校の現役インストラクターが、最低限の6項目と続けるコツを解説します。潜った記録をスマホに残せる無料アプリ「Blue Logbook」(iPhone / iPad)も公開中。

ダイビングのログブックに何を書く?三浦のスクールが作った記録アプリの話

こんにちは、三浦 海の学校の吉田です。ダイビングのログブック、ちゃんと書けていますか。三浦の海から上がって、着替えて、気がついたら電車の中。そのまま書かずに終わった1本、たぶん誰にでもあります。僕もあります。

ログブックは「書かないと怒られるもの」ではありません。でも、書いてある人と書いていない人とでは、5年後の潜り方がけっこう変わります。今日は、ログブックに何を書けばいいのかを現場の目線で書きます。最後に、三浦 海の学校が自分たちで作ったログブックのアプリのお知らせもあります。

ログブックは「経験の履歴書」

まず、ログブックが何のためにあるのかから。

PADIは公式サイトで、ログブックをダイバーの経験を証明する履歴書のようなものだと説明しています(PADI「ダイビング・ログブック」)。初めて会うインストラクターでも、ログブックを見れば、その人がどのくらいの頻度で潜っているのか、どんな環境での経験があるのかが分かる。だからCカードと一緒に持っていくものだ、と。

これは現場の実感と合います。初めてのお客さんとご一緒するとき、僕らがいちばん知りたいのは「何本潜ったか」ではなく「どういう海を、どのくらいの間隔で潜ってきたか」です。50本潜っていても最後の1本が3年前ならブランクのケアが要りますし、10本でも毎月潜っていればテンポよく進められます。

実用的な話もあります。ステップアップの資格には経験本数が条件に入るものがあり、たとえばPADIマスター・スクーバ・ダイバーはログに記録された50ダイブ以上の経験が条件のひとつです(ほかにアドバンスド・レスキュー・スペシャルティ5つの修了も要ります)。「潜った気がする」では数えられません。

Cカードが資格の証明なら、ログブックはそのあとの記録。役割が違います。

ログブックに書く6つの項目

では何を書くか。市販のログブックには記入欄がたくさんありますが、全部埋めようとすると続きません。まずはこの6つから始めるのをおすすめしています。

日付とポイント

いちばん大事です。これさえあれば、あとから「あのときの海」を思い出す取っかかりになります。三浦なら「城ヶ島」「宮川湾」のようにエリアを書いておくと、季節ごとの違いが見えてきます。

最大深度と潜水時間

ダイブコンピュータの数字をそのまま写すだけです。次のステップアップを考えるときに必ず聞かれる2つで、深いところに慣れているのか浅場でゆっくり潜るタイプなのかを、記録が語ってくれます。

水温と透明度

その日の海のコンディションです。数字は分かる範囲で構いません。三浦の海は季節で表情が変わるので、何年か書き溜めると「去年の同じ時季はこうだった」という自分だけの目安ができます。

タンクの開始圧と終了圧

見落とされがちですが、これは自分のエア持ちを知るための数字です。同じ深度・同じ時間で去年より残圧が多く残るようになっていたら、それは上達している証拠。人と比べる数字ではなく、過去の自分と比べる数字です。

ウエイトとスーツ

ウェットの何ミリで、ウエイトは何キロだったか。これを書いていない人がいちばん損をします。スーツが変わればウエイトも変わりますし、久しぶりのダイビングで「何キロだったっけ」と毎回ゼロから探り直すのは時間がもったいない。1行で次のエントリーが速くなります。

見た生き物とひとことメモ

そして、いちばん楽しいところ。見た生き物の名前と、その日のできごとをひとこと。「アオウミウシが3匹いた」「行きの電車で寝過ごした」。なんでもいいです。数字だけのログは読み返しても味気ないので、あとから自分がにやりとする一行を入れておくと続きます。

三浦の海で見られるアオウミウシ。ダイビングのログブックに見た生き物の名前を書いておくと、あとから読み返す楽しみが増える

三浦 海の学校の海の生き物図鑑には、三浦で会える89種それぞれに「ログに書くといいこと」を添えてあります。アオウミウシなら「黄色い縁取りの太さや、背中の斑点の数を観察してみましょう」といった具合です。

書き続けるほど効いてくる記録

ログブックの本当の価値は、1本目ではなく10本目・50本目に出てきます。

三浦の海は季節でまるで別の海になります。夏から秋は南から流れてくる魚が入り、冬から春は透明度が上がってウミウシが増える。言葉で説明するのは簡単ですが、自分のログで確かめた人は納得の深さが違います。「去年の10月はこれが見えたのか」と自分の字で確認できるからです。

そして久しぶりに潜るとき、いちばん効くのは励ましの言葉ではなく自分の記録です。「前はこれだけ潜れていた」という事実が、静かに背中を押してくれます。

ダイビングの記録は、紙とスマホのどっちで残す?

ここまで読んで「わかっているけど続かないんだよ」と思った方、その通りだと思います。

紙のログブックはいいものです。スタンプが並んでいく感じも、手書きの字も、あとから見返したときの重みが違う。うちも紙のログブックは扱っていますし、これからも使います。ただ、正直なところ弱点もあります。

  • 持ち歩かないと書けない。家に置いたままだと、その日のうちに書けません
  • 写真が貼れない。いちばん記録したい水中写真は、たいていスマホやカメラの中にあります
  • 検索できない。「アオウミウシを見たのは何本目だっけ」を探すには、全部めくるしかありません

だから僕らは、紙をやめるのではなく、そのうえで手のひらにも置けるようにしたいと考えました。

紙のログブックとスマートフォンが並んだ机の上。ダイビングの記録は紙とアプリのどちらでも残せる

三浦 海の学校が作ったアプリ「Blue Logbook」

というわけで、お知らせです。

三浦 海の学校は、ダイビングのログブックのアプリ 「Blue Logbook(ブルー・ログブック)」を作りました。iPhone / iPad 向け・無料で、App Store で公開中です。

外部のサービスを借りたのではなく、うちで設計して、うちで作りました。ダイビングを教えている人間が「ログブックに本当は何を残したいか」を考えたので、市販の記入欄をそのまま画面にしたものにはなっていません。

ダイビングのログブックアプリBlue Logbookの画面。左からログ一覧、三浦で会える89種のマイ図鑑、Cカードのコレクション

日付・ポイント・水深・水温・透明度・潜水時間・開始圧と終了圧・ウエイト・スーツ・エントリー方法・バディ・見た生き物・メモ。上の6項目はもちろん、市販のログブックにある項目はひととおり入っていて、写真は何枚でも添付できます。

一覧の上には記録した本数・合計潜水時間・最大深度・潜った場所の数が並びます。自分の積み上げが数字で見えるのは、思ったより効きます。

「海ごよみ」は、次のダイビングまでを数えてくれる画面です。次のダイビングの予定を入れておくと、画面のいちばん上が「海まで あと◯日」のカウントダウンになります。潜ったあとは「海から ◯日」に変わります。海から離れている期間が見えると、次の予定を決めたくなる。ログブックが記録するだけの道具で終わらないように入れた機能です。

「マイ図鑑」には、サイトの海の生き物図鑑と同じ89種が、最初は影絵の状態で入っています。ログの「見た生き物」に名前を書くと、その生き物のマスが開きます。自分で撮った写真も登録できます。図鑑を埋めるために潜るわけではありませんが、埋まっていくのが見えると次の海が少し楽しみになります。

潜った場所には地図にピンが立ち、自分の海の地図ができていきます。もうひとつ、取ったCカードをコレクションとして並べておける画面も。オープン・ウォーター、アドバンスド……と色がついていきます。指導団体(PADI・SSI・NAUI・CMASなど)も、いつも行くお店も自分で登録します。

登録もログインもなし、記録はスマホの中。ここは設計として大事にしたところです。

  • アカウント登録もログインもありません。 メールアドレスも要りません
  • 記録はスマホの中に保存されます。通信するのは、地図の絵を出すときだけです
  • 書き出しができます。機種変更のときは、書き出しておけばそのまま持っていけます

書いた記録は最後まで自分の物のままで、お店に預ける仕組みにはしていません。

なお、ブラウザで使える版(Blue Logbook Web)はすでに動いています。書き出したデータは、あとからアプリにそのまま読み込めます。

このアプリの話は、まんがでも読めます。全12ページ、案内役はクララです。

昔のログの入れ方と、アプリの入手先

昔のログもアプリに入れられますか?

入れられます。日付をさかのぼって入力できるので、紙から少しずつ写していく使い方も想定しています。全部やろうとすると大変なので、まずは印象に残っている海からでいいと思います。

どこで手に入りますか?

App Store で公開中です(iPhone / iPad・無料・アカウント登録なし・2026年9月3日公開)。App Store で入手するからどうぞ。入れ方・使い方・ブラウザ版からの引っ越しはアプリの案内ページにまとめました。使ってみて気づいたことは、公式LINEで教えてください。

続けた人だけが持てる記録

いちばんうれしいのは、そのログブックに書く1本が増えることです。三浦の海は東京から日帰りで来られます。次の海がまだ決まっていない方は、ファンダイビングのページも見てみてください。

書いた記録は、何年かたつと、自分でも忘れていた海を返してくれます。次の1本から、1行でいいので残してみてください。