筏から潜る三浦のボートダイビング|水深20m超、透明度15mのアドバンス講習

三浦でボートに乗って海上の筏へ。ジャイアントストライドで水深20mオーバーへ潜り、透明度15m以上の海でアカカマスやガラスハゼに会ってきました。PADIアドバンスド講習とファンダイビングの一日です。

筏から潜る三浦のボートダイビング|水深20m超、透明度15mのアドバンス講習

こんにちは、三浦 海の学校の吉田です。今日はボートで海上の筏(いかだ)まで渡り、水深20mを超える深場へ潜りました。透明度は15m以上、水底の水温は19度。S君のPADIアドバンスド・オープン・ウォーター(AOW)講習と、Yさんのファンダイビングです。

港を出るときは雲の多い空でしたが、風は落ち着いていて海面はおだやか。潜り先はいつものビーチではなく、三浦の海の中でもちょっと特別な入り方をする一日になりました。

三浦の港からダイビングボートに乗り込むダイバーたち

筏の上でセッティングとブリーフィング

ボートに器材を積み込んで、港を出て数分。目的地は陸から離れた海の上にある筏です。足元は板張り、周りは360度が海。ここが今日のエントリー口になります。

筏の上に器材を並べて、まずはセッティングとブリーフィングから。ここが今日のいちばん大事な時間です。タンクとBCDの固定、レギュレーターのエア残圧、オクトパスの位置、ウエイトの量。S君にはAOWの講習生として、自分の器材を自分の手で最終確認してもらいました。

筏の上でダイビング器材のセッティングをする様子

ブリーフィングでは、今日のコースの取り方、最大水深、浮上のタイミング、はぐれたときの手順を全員で共有します。船の上でも筏の上でも、やることは同じ。ここで決めたことを水中で守れるかどうかが、そのままダイビングの安全につながります。特に水深が深くなる日ほど、この5分をていねいにやるようにしています。

ジャイアントストライドエントリーで一気に水中へ

準備ができたら、いよいよエントリーです。筏の縁に立って、マスクとレギュレーターを押さえ、大きく一歩を踏み出す。ジャイアントストライドエントリーです。

三浦の筏からジャイアントストライドエントリーで海に入るダイバー

はじめてやる方はここでちょっと緊張します。板の上から海面まで少し高さがあるので、下を見ると足がすくむんですね。でもコツは単純で、下を見ないこと。視線は水平線、マスクとレギュレーターをしっかり手で押さえて、歩くように一歩出るだけ。飛び込むのではなく「歩き出す」イメージだと、体勢が崩れません。

ビーチからそろそろと入っていく歩き方と違って、一歩で水中の世界に切り替わる感覚があります。この非日常感が、ボートダイビングの楽しさのひとつだと思っています。

水深20mを超えると水底は19度

エントリーしてロープ沿いに潜降していくと、水がどんどん青くなっていきます。今日の透明度は15m以上。夏の三浦としてはかなり抜けている日で、遠くの地形まで見渡せました。

そして水深20mを超えたあたりで、水温計を見て思わず笑ってしまいました。水底の水温は19度。 水面付近はまだ夏の水温なのに、深く行くと一気に冷たい層が入ってきます。ウエットスーツで20分も止まっていると、正直ちょっとビビる冷たさでした。笑

これは水温躍層(サーモクライン)といって、暖かい表層の水と冷たい深層の水がはっきり分かれている状態です。境目を通り抜けるとき、視界がゆらゆらと歪んで見えるのですぐわかります。夏から秋にかけての三浦では、わりとよく出会う現象です。

深い水深では、体感の寒さだけでなく、エアの減りが速くなること、色が失われて赤いものが暗く見えること、そして窒素の影響が出やすくなることも実感してもらいました。AOWのディープダイビングは、この「深いとどうなるか」を自分の体で確かめておくための講習です。数字で知っているのと、実際に潜って体験しているのとでは、その後の安全マージンの取り方がまったく変わってきます。

水中でOKサインを出すファンダイビングのゲスト

アカカマスの隊列からガラスハゼまで、この日の生き物

透明度が良く、しかも水深があるおかげで、今日は本当にたくさんの魚に囲まれました。

アカカマスの群れ

中層に出た瞬間、銀色の細長い魚がずらっと隊列を組んでいました。アカカマスです。細身の体で群れの向きをぴたりとそろえて泳ぐ姿は、何度見ても迫力があります。写真では魚の向きがそろっているほど気持ちよく写るので、群れの横にゆっくり回り込むのがコツ。急に近づくと一斉に散ってしまいます。

三浦の海で群れをつくるアカカマス

構造物の周りをびっしり覆っていたのはネンブツダイ。これだけの数が一か所に集まると水中に壁ができたように見え、ゲストのフィンの動きに合わせて群れがゆっくり形を変えていきました。

三浦の水中で大群になったネンブツダイ

中層を見上げると、視界いっぱいに細かい銀色が舞っていました。イワシの群れです。透明度が良い日ほど、光を反射した群れが遠くまで続いているのがわかります。

三浦の海で中層を埋めるイワシの群れ

イワシがいれば、それを狙う魚も集まります。まずはマアジ。体側の黄色いラインと尾の付け根のぜいご(硬いうろこ)が目印で、群れの中を通り抜けるように泳ぐと魚が左右に割れていきます。

三浦の海で群れをつくるマアジ

イナダ

さらに青い側から回ってきたのがイナダ。ブリの若魚で、体をぎらりと光らせながら一定のスピードで通り過ぎていきます。この手の回遊魚は待っていても来ないので、中層に目を配っておくことが出会いの確率を上げるコツ。岩や砂地ばかり見ていると、頭上を通り過ぎる大物に気づけません。小魚が多い場所には、それを追う魚も来る。三浦の海が賑やかになる、いい流れです。

三浦の青い海を回遊するイナダ

浅い層に黄色と黒の縞模様が広がっていたのはオヤビッチャ。黒潮に乗って幼魚が流れてくる季節来遊魚で、夏から秋の三浦では群れで泳ぐ姿に出会えます。

三浦の海で群れる季節来遊魚のオヤビッチャ

ガラスハゼ

ここからは目を凝らす世界です。ムチカラマツという細長いムチのようなソフトコーラルに、透明な体を寄り添わせているのがガラスハゼ。体が透けていて、骨と内臓の輪郭がうっすら見えます。大きさは数センチ、しかも宿主と同じ色に化けているので、慣れないと本当に見つけられません。見つけ方のコツは、魚を探すのではなくまずムチカラマツを探すこと。宿主から逆算するとぐっと見つかりやすくなります。

三浦の海のムチカラマツにつくガラスハゼ

同じムチカラマツには、ムチカラマツエビも住んでいます。宿主の色に合わせた縞模様で同化していて、指をさしてもゲストがなかなか気づかないほどでした。一匹見つかると、同じ枝に何匹も付いていることがよくあります。

三浦の海で宿主に同化するムチカラマツエビ

透明な体に紫の関節と赤い斑点のアカホシカクレエビは、今日は宿主のイソギンチャクから少し離れて、砂地の上をふわりと漂っていました。ライトを当てると体の透明感がきれいに出る、マクロ撮影の定番です。

三浦の海で見られたアカホシカクレエビ

砂と見分けがつかない状態で潜んでいたのがヒラメ。ブロックの上に張りついて、体の色を周りに合わせて消えていました。輪郭をなぞるように目で追って、ようやく「あ、いた」となるレベルです。

三浦の海で砂地に擬態するヒラメ

AOWで広がる、水深30mまでの計画

PADIアドバンスド講習中のダイバー

今日のS君は、AOWのステップをひとつ進めました。オープン・ウォーター・ダイバーの認定水深は18mまでですが、AOWを取ると水深30mまでのダイビングが計画できるようになります。今日潜った水深20mオーバーの世界は、その先にある景色です。

深い場所はそれだけでリスクも増えます。エアの消費が速い、寒い、浮上に気を遣う。だからこそ、ちゃんとした手順を教わって、インストラクターと一緒に一度経験しておくことに意味があります。AOWは「深く潜っていい免許」ではなく、「深いところで何が起きるかを知って、自分でコントロールできるようになるための講習」だと僕は思っています。

三浦の海は、ビーチもボートも、浅場も深場もある海です。同じ日、同じ海でも、水深が10m違うだけで水温も生き物も景色も変わります。今日の19度の水底は、その面白さがいちばんわかりやすく出た一本でした。

ダイビングを終えて筏の上で笑顔のゲストとスタッフ

これからの三浦は、水温が少しずつ落ち着いて透明度が上がってくる季節に入ります。Cカードをお持ちの方のボートダイビングはファンダイビングに、これから始める方とAOWのステップアップはダイビングライセンス取得コースにまとめています。

S君のAOWは、この日ディープのダイブをひとつ進めました。筏から一歩で入った水深20m超の水底は19度、透明度は15m以上。アカカマスの隊列からムチカラマツのガラスハゼまで、透明度と水深に恵まれて会えた顔ぶれでした。