10歳・11歳の体験ダイビング|城ヶ島で子どもが呼吸と耳抜きに慣れるまで
神奈川・三浦の城ヶ島で体験ダイビング、Jr.体験ダイビング、ファンダイビングの一日。水泳を習っている子どもたちの呼吸と耳抜き、キビナゴとネンブツダイの群れに会えたダイビングログです。
こんにちは、三浦 海の学校の吉田です。今日は三浦・城ヶ島で、体験ダイビングとファンダイビングを一緒に開催しました。大人の体験ダイビングに加えて、10歳と11歳のJr.体験ダイビングも。夏休みらしい、にぎやかな一日になりました。
薄曇りの城ヶ島に集まった今日のメンバー
朝の城ヶ島は薄曇り。強い日差しがない分、器材を背負って準備をする時間が体にやさしい、ちょうどいい空模様でした。三浦の夏はどうしても陸のほうが暑いので、こういう日はむしろありがたいくらいです。
港の岸壁で器材を合わせながら、今日のメンバーが顔をそろえていきます。大人の体験ダイビングのお二人、Jr.体験ダイビングの子どもたち、そしてファンダイビングのゲスト。同じ海に、それぞれの目的で入っていく日でした。

体験ダイビングは「泳ぐ」ではなく「呼吸する」
体験ダイビングでいちばん大事なのは、泳ぐ力ではありません。レギュレーターをくわえて、水の中で普通に息をすること。これに慣れてしまえば、あとは景色を見る時間になります。
だから最初は必ず、足の着く浅場からです。立ったままマスクをつけて顔を水につけ、口で吸って口で吐く。慌てなくていいですよ、と伝えながら、ひとりずつペースを見ます。ここで「あ、息できる」と体が納得してくれるかどうかが、その先のすべてを決めます。
大人のお二人も、この浅場の時間をしっかり使いました。体験ダイビングというと「いきなり海に連れて行かれる」と思われがちですが、実際は逆で、足の着く深さで過ごす時間のほうが長いくらいです。マスクに水が入ったときにどうするか、耳が痛くなったらどう伝えるか。この二つを浅場で確認しておくと、深いところへ行ったときの安心感がまるで違います。
三浦 海の学校の体験ダイビングは、10歳から参加でき、年齢の上限はありません。泳ぎに自信がない方も多く参加されていますが、この浅場の練習があるおかげで「泳げないけれど楽しめました」と言っていただけることがほとんどです。

水泳を習っている子どもたちの呼吸と耳抜き
今日のJr.体験ダイビングの子どもたちは、みんな水泳を習っているとのことでした。これがはっきり表れていて、水に顔をつけることにまったく抵抗がない。マスクを装着した瞬間から、もう海を覗き込んでいます。
呼吸も上手でした。レギュレーターからの空気は、プールで息継ぎをするときの呼吸とは少し感覚が違うのですが、そこを「ゆっくり吸って、ゆっくり吐く」と伝えるだけで、すぐに落ち着いたリズムになりました。
そして耳抜き。これがとても上手だったのが印象的でした。耳抜きは体験ダイビングでいちばんつまずきやすいところで、大人でも痛みが出て深く行けないことがあります。子どもたちは、浅い深さで一度ずつ確実に抜きながら降りてくる。無理に潜ろうとせず、抜けてから次に進むという順番を守れていたので、こちらもとても安心して見ていられました。
耳抜きは根性でやるものではなく、痛くなる前にこまめに行うのがコツです。うまくいかない日は、体調や鼻の通りが関係していることもあります。抜けないまま我慢して深く行くのが、いちばんいけません。鼻づまりや耳の不調があるとき、持病があって不安があるときは、事前に医師にご相談いただくのが確実です。
子どもの体験ダイビングでこちらが見ているのは、うまくできているかどうかよりも、余裕があるかどうかです。周りを見る余裕があるか、目が合ったときに返事のサインが返ってくるか。今日の子どもたちはそこがしっかりしていて、水中でこちらを振り返って、指をさして「見て」と伝えてくるくらいでした。そうなればもう、ただの海の散歩です。

キビナゴの群れとネンブツダイ
視界は日によって変わりますが、この日は群れの魚たちがよく目立つ海でした。三浦の夏の海は、南から流れてくる魚と、もともと住んでいる魚が入り混じって、いちばん賑やかになる季節です。
キビナゴ
細長い銀色の体に、水色の帯が一本走っている小さな魚です。何百尾という群れで泳ぎ、光の角度が変わるたびに、いっせいに銀色にきらめきます。近づくと群れがふわりと形を変えて避けていくので、追いかけるより、その場でじっとして群れに囲まれるのを待ったほうがきれいに見えます。夏の三浦の海では、この群れに会えるだけで体験ダイビングの価値があると思っています。
ネンブツダイ
オレンジがかった体に黒い線が入った、手のひらほどの魚です。岩の陰や堤防の際にかたまって群れていて、こちらが近づいてもあまり逃げません。オスが口の中で卵を守る口内保育をすることでも知られていて、この時季に口をもごもごさせている個体がいたら、その中に卵が入っていることがあります。城ヶ島では定番の魚で、初めてのダイビングでも確実に「魚の群れの中にいる」感覚を味わえる相手です。

体験とファンを同じ日に開催できる理由
同じ日、ライセンスをお持ちのゲストはファンダイビングへ。体験ダイビングとファンダイビングを同じ海で並行して開催できるのは、城ヶ島の浅場と、その先の地形が近い距離にそろっているからです。
家族やグループで来られたときに、「初めての人は体験、経験者はファン」と分けられるのは、意外と大きな利点だと思います。同じ日の同じ海の話を、帰り道に一緒にできますから。誰かが待ちぼうけになる時間がないというのも、夏の一日を使ううえでは大きいところです。
ファンダイビングのほうは、同じキビナゴやネンブツダイの群れを見ていても、楽しみ方が違います。中性浮力が取れていれば、群れの流れの中に入って止まっていられる。砂を巻き上げないので、寄っても魚が散らない。体験ダイビングで「きれいだった」と思った景色に、もう一段近づけるようになるわけです。

10歳から取れるジュニア・オープンウォーター
今日の子どもたちのように、呼吸ができて耳抜きができるなら、そのままライセンス講習に進める素質は十分にあります。PADIのジュニア・オープンウォーター・ダイバーは10歳から取得でき、年齢に応じた深度などの条件はつきますが、大人になればそのまま通常のライセンスに切り替わります。
体験ダイビングは、インストラクターがずっと横についてご案内する一日です。楽しいのですが、できることの範囲はどうしても限られます。ライセンスを取ると、自分で器材をセットして、自分で潜降して、バディと一緒に海を見に行けるようになる。同じ海なのに、見え方が変わります。
講習は学科と海洋実習に分かれていて、いきなり難しいことをするわけではありません。今日やった呼吸と耳抜きは、そのまま講習の最初のスキルでもあります。つまり今日の時点で、いちばん大事な部分はもう体が覚えているということです。あとは器材の扱いと、水中での自分の位置の取り方を足していくだけ。夏休みのうちに始める方も、涼しくなってから始める方もいらっしゃいます。
もちろん、急ぐ必要はありません。今日みたいに「海って楽しかった」という記憶が残っていれば、それで十分です。そのうえで、また潜りたくなったら、今度はライセンスを取りに来てください。

一日ありがとうございました。水中で振り返って「見て」と指をさしてきた子どもたちの余裕と、キビナゴとネンブツダイの群れが目立った城ヶ島の一日でした。