透明度8m超の三浦でスノーケリング体験授業——荒井浜で大学生と過ごした一日
こんにちは、三浦 海の学校の吉田です。
昨日8月31日、三浦の荒井浜ビーチで、ある大学のスノーケリング体験授業をお手伝いしてきました。
普段はダイビングの講習やガイドをしている僕ですが、年に一度、この日だけは大学の授業の一コマを預かる立場になります。去年に続いて2回目、今年も声をかけていただきました。
荒井浜のビーチで、今年も大学の体験授業
会場は去年と同じ荒井浜のビーチです。三浦半島の相模湾側にある小さな浜で、湾のかたちが波を抑えてくれるので、初めての人が海に入るには本当にちょうどいい場所です。僕らが普段ダイビングで使っている城ヶ島や宮川湾とは別の浜ですが、団体の授業のように人数がまとまるときは、更衣や休憩まで含めて動きやすい場所を選びます。 当日は朝から曇り空。夏の終わりらしい、少し湿った空気の中でのスタートになりました。
参加してくれたのは、将来の保育士さんや学校の先生を目指している学生さんたちです。引率の先生はご自身もダイバーで、だからこそ「学生のうちに海に入っておいてほしい」 という気持ちが強いのだと思います。
海のそばに住んでいても、スノーケリングの道具を自分でつけて顔をつける機会は、意外なほど少ないものです。プールで泳いだことはあっても、足のつかない海に浮いたことはない。 そういう学生さんがほとんどでした。
その機会を、授業という形でわざわざ作ってあげている。 これは先生がいなければ生まれない一日です。子どもたちに自然の話をする側に回る人たちが、自分の体で海を知っておく。その意味は、たぶん何年も先に効いてくるのだと思います。

足のつくところから始める、三浦のスノーケリング
この日いちばん時間をかけたのは、実は海の中ではなく、足のつく浅場です。
初めてスノーケリングセットをつける人、泳ぐことがあまり得意ではない人が混ざっています。いきなり深いところへ連れて行っても、楽しいどころか怖いだけで終わってしまう。だから胸くらいの深さで、順番にひとつずつ体に入れていきます。
まずマスク。髪の毛を巻き込まないようにストラップをかけて、位置を合わせて、水が入らない状態をつくります。ここが合っていないと、この先ずっと水が入り続けて集中できません。次にスノーケルをくわえて、顔を水につけたまま呼吸してみる。慣れないうちは、これだけで少し息が上がります。
そしてスノーケルクリア。パイプに入った水を、息を吹いて外に出す練習です。「水が入っても自分で出せる」と体でわかると、顔をつけていられる時間がぐんと伸びます。
そのあとライフジャケットを着けて、力を抜いて浮いてみる時間をとりました。泳ぎが苦手な人にとって、いちばん大事なのはここです。バタバタしなくても勝手に浮くという感覚を先に知っておくと、海に出てからの安心感がまったく違います。最後にフィンを履いて、浮いた状態からのキックを少しだけ練習して、ようやく海へ。
この順番はダイビングの講習とほとんど同じです。器材に慣れる、浮くことに慣れる、動くことに慣れる。焦らず積み上げれば、泳げないことは海に入れない理由にはなりません。

曇り空でも透明度8m以上——8月末の三浦の海況
水温はこの時季にしては少し低めで、入った瞬間に「ひんやりする」 という声が上がりました。夏の終わりの相模湾は、日によって水の入れ替わりで体感が変わります。とはいえウェットスーツを着ていれば十分動ける範囲で、震えるほどではありませんでした。
そのかわり、透明度がとてもよかった。8m以上は見えていて、浮いたまま下を覗くだけで岩の上の魚がはっきり見える状態です。曇り空だと水中は暗いと思われがちですが、この日は透明度に助けられて、光が回るきれいな海になりました。
ダイビングで潜っていても、これだけ見えていれば十分に当たりの日です。三浦のスノーケリングは、こういう日に当たると本当に強い。ボートに乗らなくても、足のつく浜から少し出ただけで、この景色に届きます。

三浦の海で出会った生き物たち
浅い岩場は、実は魚の密度がいちばん高い場所です。 この日も短い時間でたくさん観察できました。
ネンブツダイ——お父さんが口の中で卵を育てる
岩のくぼみを覗くと、オレンジがかった小さな魚がびっしり群れています。 ネンブツダイです。テンジクダイの仲間はオスが卵を口の中に入れて守る「口内保育」で知られていて、口をもごもごさせている個体がいたら、それは卵を抱えたお父さんかもしれません。保育士さんや先生を目指す学生さんたちに、これ以上ぴったりな魚もそうそういないなと思いながら紹介しました。
メジナ——磯を代表する群れの魚
中層をゆったり回っている、体高のある銀色の魚がメジナです。三浦の磯ではおなじみで、海藻をついばみながら群れで移動していきます。人が近づいてもすぐには逃げず、少し距離を保ったまま一緒に泳いでくれるので、初めてのスノーケリングでも「魚と泳いだ」 という実感を持ちやすい相手です。
チョウチョウウオ——黒潮に乗ってきた季節来遊魚
黄色い体に黒い模様の入ったチョウチョウウオも顔を出してくれました。三浦で夏から秋にかけて見られるこの手の魚は、黒潮に乗って南から流れてきた「季節来遊魚」 です。三浦の海が一年でいちばん南国らしくなるのは、実はこれからの季節。同じ話はまんがでも読めます。
ウツボ——顔は怖いけれど
岩の穴から顔だけ出しているウツボにも会えました。口をパクパクしているのは威嚇ではなく呼吸しているだけで、こちらから手を出さないかぎり襲ってくることはほとんどありません。とはいえ歯は鋭いので、穴に手を入れないことだけはしっかり伝えます。この「怖そうに見えるものの正体をちゃんと知る」という体験は、子どもに海の話をする側になる人にこそ持っておいてほしいものです。

コノハミドリガイ——光合成するウミウシ
そして小さな主役、コノハミドリガイ。1〜3cmほどの緑色のウミウシの仲間で、縁がオレンジや黒で彩られています。この仲間は食べた海藻の葉緑体を体の中に取り込んで光合成することが知られていて、翼のような体を広げて日を浴びていることもあります。 動物なのに光合成する。説明すると、だいたいみんな一度は聞き返してくれます。
ここで挙げた生き物は、海の生き物図鑑でも写真つきで見られます。海から上がったあとに「さっきのあれ何だった?」を確かめる時間まで含めて、体験授業だと思っています。
泳ぎが苦手でも、海はちゃんと楽しめる
海に出てからは、みんな驚くほど静かに浮いていました。 浅場で「浮ける」を確認した人は、水の上でジタバタしません。

下から見上げると、水面の向こうに空が広がって、ピースサインの影が並びます。顔をつけている時間より、上がってきて「見えた!」と言い合っている時間のほうが長かったかもしれません。 それでいいと思っています。

来年も三浦の海で——この子たちの後輩へ
一年に一回、こうして海に入る機会を作り続けている先生に、あらためて感謝しています。 今年もありがとうございました。
そして来年は、この学生さんたちの後輩が遊びに来てくれるそうです。同じ荒井浜で、同じように足のつくところから始めて、また誰かが初めて海に浮く。そういう一日が積み重なっていくのは、僕にとってもうれしいことです。
三浦 海の学校では、スノーケリングを少人数制で開催しています。通常のプランは城ヶ島または三戸浜で、大人¥7,700・子ども¥5,500・親子ペア¥13,000(いずれも税込/ウェットスーツが必要な時期は別途レンタル代)です。今回のような学校や団体での体験授業は、人数や目的に合わせて開催場所から個別に調整しますので、まずはお問い合わせからご相談ください。
「泳げないけれど海に入ってみたい」という方も、まずは足のつくところからで大丈夫です。スノーケリングとダイビングは使う道具が違うだけで、海に慣れていく順番は同じです。もう少し深いところまで、もう少し長く見ていたくなったら、そのときは体験ダイビングでお待ちしています。三浦の海は、そこから先もずっと続いています。
三浦 海の学校について
三浦 海の学校は神奈川県三浦市のPADI公認5スターIDCセンターです。ダイビングライセンスの取得から、ファンダイビング、SUPやスノーケリングなどのマリンアクティビティまで、初心者からベテランまで楽しめます。 開催は城ヶ島・宮川湾。京急三崎口駅から開催地まで無料送迎をご利用いただけます。
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