初めてのダイビング講習、緊張がほどける順番|水温24度の三浦で5名と
神奈川・三浦の海でOWD講習4名とアドバンス講習1名。水温24度、透明度6mの海況と、初めての緊張がほどけていく瞬間、レギュレーターの奥から聞こえた歓声を記録しました。
こんにちは、三浦 海の学校の吉田です。今日はオープンウォーターダイバー(OWD)講習が4名、アドバンス講習が1名。合わせて5名のお客様と、水温24度・透明度6mの三浦の海に入ってきました。
空はうっすら曇り、風もおだやか。夏の三浦らしい、静かな海です。
この日の海は水温24度・透明度6m
24度というのは、三浦の夏の海としてはかなり快適な部類です。5mmのウェットスーツで、講習の時間をしっかり使ってもじっくり潜っていられる水温。指先がかじかむこともないので、器材の操作やスキルの練習に集中できます。ダイビングを始めるなら、この時季がいちばんラクだと思います。
透明度6mというのは、南の島の写真を見慣れている方には物足りなく聞こえるかもしれません。でも三浦半島の海としては、これはしっかり見えている状態です。相模湾側の内湾は、プランクトンが多いぶん生き物も多い海。透明度が抜群でないことと、生き物が豊かなことは、じつは同じ理由の裏表なんです。
そして講習という視点で見ると、6m見えていれば十分すぎるほど。バディの姿もインストラクターの合図も、はっきり確認できます。今日は海況も落ち着いていて、流れも波もほとんどありませんでした。
海況が穏やかというのは、初めての方にとっては数字以上に大きな意味を持ちます。エントリーのときに足元がふらつかない。水面で待っているあいだに波をかぶらない。それだけで、水中に入る前に消耗せずに済みます。緊張している人ほど、じつは水に入る前の段階で体力を使っているものなので、今日みたいなコンディションは講習にとってありがたい限りでした。
初めての講習、ドキドキから「わくわく」へ

OWD講習の4名は、みなさんスキルがとても上手でした。マスククリアも、レギュレーターリカバリーも、教科書どおりに落ち着いてこなしていく。

とはいえ、初めてのことって、やっぱりちょっとドキドキしますよね。顔に水がかかるのが不安。呼吸が続くのか心配。耳が抜けるかどうかわからない。海に入る前は誰でもそうです。僕自身も、初めて器材を背負ったときのことは今でも覚えています。
でも、これは毎回そうなのですが、慣れれば大丈夫なんです。最初の1本で緊張していた方が、2本目には水中を見回す余裕が出てくる。3本目には、隣のバディに生き物を指さして教えている。今日もまさにその変化が見られました。ドキドキは、消えるというより「わくわく」に置き換わっていく。その切り替わりの瞬間に立ち会えるのが、インストラクターをしていていちばん嬉しいところです。
だから、いま「私にもできるかな」と迷っている方には、大丈夫ですよと伝えたい。もちろんダイビングにリスクがないわけではありませんし、体調や持病の面で医師の判断が必要な場合もあります。そこは正直にお伝えします。でも、順番どおりに、ゆっくり練習していけば、体はちゃんと慣れていきます。
緊張がほどける順番には、だいたい型がある
不安のほどけ方には、見ていると共通の順番があります。
最初にほどけるのが呼吸です。レギュレーターから空気が出続けることを、頭ではなく体が納得すると、吸って吐くリズムが自然に落ち着いてきます。次にほどけるのが視線。それまで足元や手元しか見ていなかった人が、顔を上げて周りを見るようになる。ここまで来ると、もう水中を楽しむ準備ができています。最後にほどけるのが手です。何かにつかまっていたい気持ちが消えて、手が体の前でふっと自由になる。
三浦 海の学校の講習ではインストラクター1名につき最大4名までにしているのですが、これはこの順番を一人ずつ見ていたいからでもあります。人数が増えると、どうしても「全体を進めること」が優先されてしまう。誰がいまどの段階にいるのか、目の届く人数でやりたいんです。
ブランク明けのT君の浮力コントロール
アドバンス講習のT君は、久しぶりのダイビングとのことでした。
ブランクがあると、普通は最初のうち浮力が安定しません。息を吸ったら浮きすぎ、吐いたら沈みすぎ。BCDのボタンを押しすぎて上下してしまう、というのがよくあるパターンです。

ところがT君は、とても上手でした。着底することも吹き上がることもなく、水底からきれいな高さをキープして泳いでいく。呼吸だけで微調整できている感じがありました。
浮力コントロールは、アドバンス講習の中でも中心になるスキルです。うまくなると水中の景色が変わります。砂を巻き上げないので視界が濁らない。手を使わないので生き物に近づける。エアの持ちもよくなって、同じタンクで長く潜っていられる。ダイビングの「上手い・下手」の大部分は、じつは浮力で決まると言ってもいいくらいです。
そして今日みたいな透明度6mの海では、この差がそのまま体験の差になります。砂地で1回バタついて視界を濁らせてしまうと、そこから数分は何も見えません。逆に静かに動ける人は、濁っていない水を自分の前に保ったまま進んでいける。同じ海に入っているのに、見えているものの量がまるで違うんです。
ブランクがある方は「もう一度やり直しになるのでは」と心配されることが多いのですが、体はけっこう覚えています。忘れているのは手順のほうで、感覚のほうは1本潜れば戻ってくることが多い。久しぶりで不安な方は、いきなり本数を重ねるより、まず1本ゆっくり潜って感覚を取り戻すところから始めるのがおすすめです。
ウミヘビの仲間と、レギュレーターの奥の「おぉー」
今日いちばん嬉しかったのは、T君がたくさんの生き物に感動していたことでした。
水中では言葉を話せません。それでも、レギュレーターをくわえたまま「おぉー」という声が漏れてくることがあるんです。マスク越しに目が丸くなっていて、こちらを振り向いて何度も指をさす。

たとえばこの子。砂地からにゅっと顔だけ出して、口を開けたり閉じたりしています。ウミヘビの仲間なのですが、名前に反して爬虫類ではなく、ウナギやアナゴに近い魚です。ふだんは砂の中に体を隠していて、こうして顔だけ出して流れてくるものを待っています。近づきすぎると引っ込んでしまうので、浮力を安定させて、静かに間合いを詰めるのがコツ。まさに今日の浮力コントロールが役に立つ場面でした。
三浦の海は、派手なサンゴこそありませんが、砂地・岩・海藻と環境が入り混じっていて、こういう「よく見ると何かいる」生き物の宝庫です。透明度6mの海でも、目の前50cmの世界にはいくらでも被写体があります。
歓声が聞こえてくると、こちらまで嬉しくなります。ガイドとしてはこれ以上ない報酬みたいなもので、今日はそれをたっぷりもらった一日でした。
5名の講習は明日に続く

今日も素敵なお客様に恵まれて、楽しいダイビングができました。OWDの4名も、アドバンスのT君も、本当にお疲れさまでした。
講習はまだ続きます。明日も海況が落ち着いてくれることを願いつつ、また一緒に楽しみましょう。