台風のうねりで三浦の海がクローズ——ダイビング中止を決める日の話

台風のうねりで三浦の海がクローズ——ダイビング中止を決める日の話

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こんにちは、三浦 海の学校の吉田です。

今日は三浦で2ビーチダイビングの予定だったのですが、残念ながら海はクローズになりました。 原因は台風のうねりです。連日潜れていた三浦の海も、今日ばかりは自然に軍配が上がりました。

せっかくなので今日は、「うねりで中止」とはどういうことなのか、僕たちが何を見てクローズを決めているのかを書いてみようと思います。台風シーズンにダイビングの予定を立てている方には、きっと役に立つ話です。

台風のうねりが三浦の海に届くとき

台風というと、暴風雨で海が大荒れになるイメージがあると思います。でも実は、ダイビングが中止になる日の多くは、頭の上は晴れていたり、風もそれほど強くなかったりします。 今日の三浦もそうでした。陸から見ると「え、この天気で潜れないの?」 という空模様です。

それでも海の中は別世界です。台風が遠くにあっても、そこで生まれた大きな波のエネルギーは「うねり」となって、数百キロ先まで海を伝わってきます。

波には大きく分けて2種類あります。ひとつは、その場所で吹いている風が立てる「風波」。もうひとつが、遠くの低気圧や台風で生まれた波が長い距離を旅してきた「うねり」 です。風波は風が止めばすぐ収まりますが、うねりは発生源から独立して進んでくるので、こちらの天気とは関係なく届きます。頭上が晴れていても海だけが荒れる、という不思議な状況はこうして生まれます。

うねりの特徴は周期の長さです。沖ではゆったりした大きな起伏にしか見えないので、パッと見の海面は意外と穏やかです。ところが水深が浅くなる岸際まで来ると、海底に波のエネルギーが押さえつけられて一気に持ち上がり、大きな波になって崩れます。 沖を見て「大丈夫そう」と思っても、エントリー口だけがドカンと荒れている。 うねりの日のビーチではよくある光景です。

台風から届くうねりのイメージ。遠くの台風で生まれた波が長い距離を伝わってくる

このうねりが入ると、ビーチのエントリー口では足元をすくわれるような強い波が周期的に押し寄せますし、水中も浅場を中心に体が前後に大きく振られます。器材を背負ったダイバーは陸上では身軽ではないので、膝くらいの水深で波に転がされるのが一番危ないのです。さらに砂やプランクトンが巻き上げられて透明度も落ちます。

つまり、危なくて、しかも楽しくない。潜る理由がなくなってしまうのです。

今日の予定はビーチダイビングでした。ビーチはエントリーもエキジットも波打ち際を通るので、うねりの影響を一番受けやすいスタイルです。今日のコンディションでは、無理をする選択肢はありませんでした。

ダイビング中止の判断はどう決めているのか

三浦 海の学校では、開催日の海況判断を段階的にやっています。

前日までの波予報チェック

数日前から波の高さと周期の予報を見ています。特に注目するのは波の高さそのものより「周期」 です。同じ波高でも、周期の短い風波なら潜れることが多いのに対し、周期の長い波が予報に出てきたら、それはうねりのサインです。台風が発生したら、進路と一緒にうねりの到達タイミングを追いかけます。台風本体が来るより先に、うねりだけが数日早く届くことも多いからです。

当日の現地確認

予報はあくまで予報なので、最後は現地の海を自分の目で見て決めます。エントリー口に立って、波のセット(大きな波のかたまり)がどのくらいの間隔で入ってくるか、引き波の強さはどうかを確認します。うねりはずっと同じ強さで来るのではなく、静かな時間帯と大きなセットが交互にやってくるので、数分眺めただけでは判断を誤ります。 しばらく腰を据えて観察するのがコツです。

今日も実際にうねりが入ってきており、安全にエントリー・エキジットできる状態ではないと判断して、クローズを決めました。海況判断は経験がものを言う世界ですが、20年以上この海を見てきても、最後に頼るのは「自分の目で見た今日の海」 です。

迷ったら潜らない

ダイビングの安全で一番大事なのは、実はこのシンプルなルールです。「行けるかもしれない」で潜った海は、たいてい楽しくありませんし、リスクだけが残ります。 海は逃げません。コンディションの良い日に潜り直したほうが、絶対にいい思い出になります。

これは僕たちインストラクターだけでなく、ライセンスを取ったあとのダイバーのみなさんにも持ち帰ってほしい考え方です。 講習でも「中止する勇気」の話は必ずします。海況判断ができるようになることは、器材の扱いと同じくらい大切なダイバーのスキルです。

ダイビングが中止になったら——日程変更のご相談

今日ご予約いただいていたお客様には、日程の変更をご案内しました。海況による中止の場合は、無理のない日程でのお振り替えをご相談させていただいています。

そして気になる明日ですが、正直なところ、潜れるかどうかはまだわかりません。うねりは台風が離れたあともしばらく残ることがあるからです。明日の開催は、朝に現地の海を確認してからの当日判断とさせていただきます。ご予約いただいている方には、判断が出しだいご連絡します。

台風シーズンの三浦でダイビングを予定される方は、こうした「当日判断」があることを頭の片隅に置いておいていただけると、心の準備がしやすいと思います。予定どおり潜れたらラッキー、くらいの気持ちでいてもらえるとうれしいです。

ちなみに、台風シーズンだからといって三浦の海がずっと荒れているわけではありません。この夏も連日のように潜れていましたし、クローズになる日はむしろ少数派です。三浦半島は城ヶ島や宮川湾など向きの異なるポイントを選べるので、風向きによってはどこかしらで潜れる日が多いのも強みです。ただ、今日のように大きなうねりが正面から入ってくる日ばかりは、どのポイントもお手上げになります。

うねりが収まった後の穏やかな三浦の海に期待して

海が閉じる日があるから、開く日がうれしい

インストラクターという仕事をしていると、海に「今日はダメ」 と言われる日が年に何度もあります。正直、お客様の楽しみにしていた顔を思い浮かべると、クローズの連絡を入れるのはいつも心苦しいです。

でも、うねりが抜けたあとの海は、驚くほどきれいになることがあります。かき混ぜられた海が落ち着くと、透明度がぐっと回復することも珍しくありません。台風一過の海は、ダイバーへのご褒美みたいなものです。

それに、台風は南の暖かい海水と一緒に、南方の魚の子どもたちを三浦へ連れてくる役目もしています。 黒潮に乗って流れ着いた彼らは「季節来遊魚」と呼ばれ、秋の三浦の海をカラフルに彩ってくれる主役です。今日のうねりも、見方を変えれば秋の楽しみの前触れかもしれません。 悔しさ半分、楽しみ半分。そんな気持ちで海を眺めていました。

今日潜れなかったぶんは、次に海が開いた日に取り返しましょう。三浦の海は逃げませんし、僕たちはいつでもベストコンディションの海にご案内できるよう、毎日海況を見続けています。海の状況が気になる方は、ご予約の際に遠慮なくお尋ねください。その時点でわかっている最新の見立てをお伝えします。

秋に向けて三浦の海はこれからが本番です。ダイビングを始めてみたい方も、ブランクから復帰したい方も、お気軽にご相談ください。

三浦 海の学校について

三浦 海の学校は神奈川県三浦市のPADI公認5スターIDCセンターです。ダイビングライセンスの取得から、ファンダイビング、SUPやスノーケリングなどのマリンアクティビティまで、初心者からベテランまで楽しめます。 開催は城ヶ島・宮川湾。京急三崎口駅から開催地まで無料送迎をご利用いただけます。

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