4本潜って、4つの違う海——三浦で経験本数を積む雨の日のダイビング

4本潜って、4つの違う海——三浦で経験本数を積む雨の日のダイビング

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こんにちは、三浦 海の学校の吉田です。

9月16日は、朝から雨の三浦で、ビーチダイビングを4本潜ってきました。

ご一緒したのは初めましてのRくん。目的ははっきりしていて、「経験本数を積みたい」。Cカードを取ったあと、次に進むために本数がほしい、という段階のダイバーです。

一日に4本というと、同じ海を4回繰り返すように聞こえるかもしれません。でも実際に潜ってみると、4本はぜんぶ違うダイビングでした。 今日はその話を書きます。

雨の日の三浦のダイビングは、海の中のほうが穏やか

天気は一日雨でした。陸で準備しているときは、正直なところ「今日は寒いかな」 と身構えます。

ところが海に入ると、水温は23度。9月の三浦の海は、まだ夏の温かさを保っています。雨で冷えた空気より、海の中のほうが体感としては暖かい。これは9月の三浦でよくある逆転で、先週の記事でも同じことを書きました。雨だからといって海の中が暗くて寂しいわけではなく、水面の雨音は潜った瞬間に消えて、いつもの静かな海になります。

透明度は8mからで、本数を重ねるうちに少しずつ抜けていく感じでした。8mというのは、三浦のビーチでは「まずまず良い」 部類です。目の前の岩やバディの姿ははっきり見えて、生き物探しには十分な視界でした。

経験本数を「稼ぐ」ダイビングは、雑なダイビングではない

「本数を稼ぐ」という言い方は、少しだけ後ろめたさを含んで使われることがあります。中身より数を追っているように聞こえるからでしょう。

でも僕は、本数を積む段階はとても大事だと思っています。理由は単純で、ダイビングの感覚は本数でしか身につかないからです。浮力の取り方、フィンの動かし方、耳抜きのタイミング、残圧の見方。 講習で「知っている」ことが、本数を重ねるうちに「考えなくてもできる」 に変わっていきます。

だから今日の4本も、ただ潜って上がるだけにはしませんでした。1本ごとにテーマを少しずつ変えて、Rくん自身が「今のダイビングはさっきと違った」 と感じられるように組みました。

透明度8mの三浦の海で、中性浮力を取りながら泳ぐダイバー

4本のビーチダイビングは、ぜんぶ違う海だった

同じエントリー口から入っても、行くコース、深さ、時間帯、狙う生き物を変えると、ダイビングはまったく別の顔になります。 今日の4本を順番に振り返ります。

1本目:まず海に慣れる。ミノカサゴとの出会い

1本目は、ウォーミングアップです。器材の感触を確かめて、浮力を整えて、ゆっくり進む。初めての海で最初の1本は、誰でも少し力が入ります。

その途中で、砂地の上をゆっくり泳ぐミノカサゴに会いました。扇のように広がったヒレと、赤褐色と白の縞模様。三浦の海では一年を通して見られる魚ですが、こうして砂地の上を優雅に横切る姿は、何度見ても足を止めてしまいます。背びれの棘には強い毒があるので、近づくときは距離を取って観察します。ゆっくり泳ぐ魚なので、初めて出会う人でも落ち着いて見られる、いい「最初の一匹」 でした。

1本目の後半:白いレースのようなユビノウハナガサウミウシ

同じ1本目の後半、岩の上に白いものが見えました。 ユビノウハナガサウミウシです。

半透明の白い体に、指のように枝分かれした鰓突起が並ぶウミウシで、まるで白いレースか、小さなサンゴの枝を背負っているように見えます。ソフトコーラルを食べて暮らしているので、ヤギやトサカの近くを探すのがコツです。周囲に溶け込みやすいのですが、この日は赤い岩の上にいてくれて、白さがよく映えました。

白いレースのような鰓突起を持つユビノウハナガサウミウシ。三浦のビーチダイビングで撮影

2本目:泳ぐことに集中する

2本目は、生き物を探すよりも「泳ぐ」 ことをテーマにしました。少し長めの距離を、一定の深さを保ちながら移動する。浮力が安定していないと、これが意外と難しいのです。

1本目で海に慣れたRくんは、2本目では姿勢が落ち着いていました。呼吸で深さを微調整する感覚がつかめてくると、フィンを無駄に動かさなくなります。水中で写真を撮ったとき、体が水平に近く、泡がまっすぐ上がっていく。こういう小さな変化が、本数を積むと確実に出てきます。

3本目:岩の穴をのぞく。コケギンポ

3本目は、岩場をゆっくり進みながら、小さな穴をのぞくダイビングです。

そこで顔を出していたのがコケギンポ。頭の上にフサフサした皮弁を持つ、数センチの小さな魚です。岩の穴やカイメンの隙間から顔だけ出して、こちらをじっと見ている。この日の一匹は口を大きく開けた瞬間を見せてくれて、写真を見返すと「威嚇なのか、あくびなのか」 と笑ってしまう表情でした。

コケギンポは三浦のビーチポイントで一年中見られる人気者ですが、探すには「止まって、小さな穴を一つずつ見る」 という余裕が必要です。1本目では力が入って景色が流れていた人が、3本目にはこの小さな魚を見つけられるようになる。 これも、本数を重ねたからこそです。

岩の穴から口を開けて顔を出すコケギンポ。三浦のビーチで一年中見られる小魚

4本目:砂地と海藻の海。コノハミドリガイとダイナンウミヘビ

4本目は、時間帯も午後遅くになり、光の色が変わってきます。今日は砂地と海藻の生えた岩を中心に回りました。

海藻の茂みで見つけたのがコノハミドリガイ。鮮やかな黄緑色の体に黒い斑点、そして背中のヒダの縁がオレンジと黒で縫い取られたような、小さなウミウシの仲間です。1〜3cmと小さいのですが、緑にオレンジの縁取りが鮮やかなので、慣れると海藻の中でも目に入ってきます。食べた海藻の葉緑体を体内に取り込んで光合成をする、という不思議な生き方をしています。

海藻の上を進むコノハミドリガイ。黄緑の体にオレンジと黒の縁取りが鮮やかなウミウシの仲間

そして最後、砂地から顔だけをのぞかせていたのがダイナンウミヘビです。名前にウミヘビとありますが、爬虫類ではなくウナギに近い魚で、毒はありません。体をすっぽり砂に埋めて、頭だけ出して獲物を待っています。近づくとすぐ砂に引っ込んでしまうので、遠くから静かに見るのがコツです。

砂地から頭だけ出したダイナンウミヘビ。三浦の砂地ダイビングで見られる魚

4本を並べてみると、ミノカサゴ、ユビノウハナガサウミウシ、コケギンポ、コノハミドリガイ、ダイナンウミヘビ。同じエントリー口から入って、1本ごとにまったく違う生き物に会いました。海は一つでも、ダイビングは4つ、ぜんぶ違う海でした。

スキルが伸びていく感覚は、三浦の海で本数を積んだ人にしか分からない

4本目を終えて上がってきたRくんの動きは、1本目とはっきり違っていました。器材の付け外しが早くなり、エントリーの前の確認が自分のリズムで進み、水中では止まりたい場所で止まれる。

これは僕が教え込んだというより、Rくんが4本の中で自分でつかんだものです。インストラクターができるのは、そのつかむ機会を1本ごとに用意することだけです。

「経験本数を積む」というのは、数字を増やすことではなく、こういう感覚の変化を自分の体で確かめることだと思っています。

そして三浦の海は、その練習にちょうどいい海です。ビーチから入れて、深さも自分で選べて、それでいて1本ごとに違う生き物に会える。

Rくんとは、また来週も潜る約束をしました。 次はどんな4本になるか、僕も楽しみです。

Cカードを取ったあと、本数を積みたい方、久しぶりで感覚を取り戻したい方は、ファンダイビングでお待ちしています。潜った当日に次回の日付を確定すると、次のファンダイビングが800円引きになるつづける割もあります。ビーチ・ボート・リフレッシュのどれでも同じ800円引きで、バディ割とも併用できます。「来月のどこかで」ではなく日付を決めていただくのが条件で、日程が動いた場合は空きがあれば無料で変更できます。 Rくんの「また来週」も、ちょうどこの形でした。

本数を積む段階は、間隔が空くほど感覚が戻りにくくなります。月に1回でも続けて潜ることが、いちばんの近道だと思います。

三浦 海の学校について

三浦 海の学校は神奈川県三浦市のPADI公認5スターIDCセンターです。ダイビングライセンスの取得から、 ファンダイビング、スノーケリングなどのマリンアクティビティまで、初心者からベテランまで楽しめます。 開催は城ヶ島・宮川湾。京急三崎口駅から開催地まで無料送迎をご利用いただけます。

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